東の魯山人、西の半泥子と呼ばれた川喜田半泥子を観に横浜へ。
ある銀行家がみた夢 川喜田半泥子〔かわきたはんでいし〕のすべて
横浜・みなとみらいにあるそごう美術館へ。
今回はピカソの奥さんでもあった「フランソワ・ジロー」の作品展にも行きたかったのですが、時間に余裕がなく、中々本物を観る機会のない「川喜田半泥子」の茶器を見に出かけました。
川喜田半泥子は、伊勢商人川喜田家の長男として大阪に生まれ、生後まもなく祖父と父が他界して、1歳で16代川喜田家の当主に。
百五銀行の頭取のかたわら、陶芸・絵画・書・茶道に通じる数寄者〔すきしゃ〕になる。
陶芸では金重陶陽・北大路魯山人・加藤唐九郎・荒川豊蔵との交流もあり、影響を受けた作品を観ることができました。
書の掛け軸に「希世羅羅羅」〔ケセラセラ〕と書かれていて、「なるようになれ」という強い意志が字からも感じられ、幼くして、祖父や父親がいない中で、強くたくましく生きていかなければならなかった半泥子の人生を思うと、陶芸にのめりこむことで救われた「半泥子の思い」が作品になったものばかりでした。
2010年2月11日〔木〕ー3月22日〔月〕
3月22日の最終日になんとか間に合いましたが、東名高速道路は恐ろしい渋滞で、川喜田半泥子のエネルギーと東京・池袋西武ギャラリーの「ダニエル・オストの花」に癒され、心は満たされていましたが、体はほとほと疲れました。
つくづく東京・横浜の人が羨ましいですね。
渋滞を思うと東京には新幹線でと思いますが,今度は恐ろしい「人混み」に疲れます。
物が揃わない、見たい展覧会が名古屋まで来ないことに悲しんでいますが、東京に比べると「人が少ない」名古屋に帰ってくるとほっとします。
掛け軸には「無茶」と書かれています。
私自身はこの掛け軸の「字」に惹かれました。
3万とも5万ともいわれる数の器をつくったのに、全部人にあげて、売ったことがないという彼の、奔放に書かれた「字」に半泥子のすべてが現れています。
時には無茶をすることも必要かもしれません。
無茶をしたことで多くを学びました。
渋滞を覚悟で出かけるのも「無茶」なことですが、「本物を観る」ことで得られるものは、言葉では表すことができないほど多くのものを与えられます。今の自分にとって大切で「贅沢な時間」です。
志野茶碗 銘「おらが秋」
半泥子の茶器は全体的にオブジェのような大きなものが多く、お茶を飲むときに苦労 するのではと心配しましたが、豪放で男性らしい思い切った作品が多く、銀行家として、左脳にも右脳にも、長けていた半泥子にふさわしい作品だと思いました。
DATA 横浜・そごう美術館
横浜市西区高島2−18−1
Tel:045−465−5515
Open:10:00−20:00
お休み:会期中無休