猪熊弦一郎  「いのくまさん」    愛しいものたち

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セミナーや連載のためのテーブル、教室のテーブルと作らなければならないテーブルが毎月いくつかあって、頭の中にいつも何種類ものテーブルが回っていますが、そんな合間をぬって、美術館やギャラリーに出掛けると頭の中が真っ白になってリラックスできます。
美しいもの、アートなものを見ることも仕事の内ですが、もともと美術館を訪ねることが好きで今の仕事につながっています。







刈谷市美術館は「チェコ絵本とアニメーションの世界展」や「ブルーノ・ムナーリ展」「宇野亜喜良ポスター展」など個性的な企画展が行われる美術館






                                 2012年9月15日〔土〕 -11月4日〔日〕


               こどもの ころから えが すきだった いのくまさん
               おもしろい えを いっぱい かいた

               詩人・谷川俊太郎の言葉






美術館の前にある真っ赤なベンチ
実は派手な色はあまり好みではないのですが、この自然の中にあるベンチはこの場所にぴたりと決まっています。
ベンチの赤が自然の色に映えて、座りごこちがよさそう






                             エントランス





京都の恵文社で表紙に「物物」という字が書かれた本を見つけてページをめくってみたら、猪熊弦一郎が拾っってきたり、古道具屋さんで購入したりした「小さな物たち」が写されていました。
道で拾ったゴミも高価なアンティークの区別もなく、画家が愛おしく思う物が集められていました。
彼が亡くなるまでずっと一緒に暮らして、彼のインスピレーションの源になったコレクションです。



スタイリストの岡尾美代子さんがたくさんある「物」の中から「彼女が美しいと思ったものたち」を選び、写真家のホンマタカシさんの感性で撮られた一冊の「美しい本」です。






画家がいつも身近に飾って、愛でていた姿が目に浮かびます。
ぴかぴかしたものは一つもありませんが、彼の描く絵の中に「物物」の姿や色が見え隠れしていました。





茶色の紙にロゴが印刷された袋のように見えますが、NYのギャラリーから送られてきた展覧会の案内状
こんなDMが送られてきたらどんなに時間がなくても、きっと出掛けていきますね。


 

 


日本では曲げわッぱといわれている曲げ物
この形も完成された美しい造形です。
アーリアメリカンのマーボロ〔ビー玉〕が入っています。


  

 
針仕事に使っていたものでしょうか?
使われることはなくなりましたが、今では愛らしいひとつのオブジェになっています。



  

 


海岸に流れ着いた瓶のかけら
私も装飾的な文字が目に留まって持ち帰ることがあります。
本来はゴミなのかもしれませんが、自分だけの宝物です。
こんな小さなことに感動できることが嬉しいですね。





顔や手が陶器でできていて、アーリーアメリカンのもの
猪熊さんの奥様がコレクションしていた大切なお人形






このお人形はNY・ブルックリンで見つけた、今も目に残っているお人形たち
色が使われていないことでより表情を感じます。
日本へ連れて帰りたかったのですが・・・・・
今は誰かの部屋に飾られ、かわいがってもらっているのでしょうか?

 

 


李朝の白磁を思わせるようなトロンとした白い肌
この壺も見ているだけで癒されます


 


赤い丸が印象的な鳥たちがかわいいオブジェ
こんな鳥たちからもインスピレーションをもらっていたのでしょうね。





メキシコ製の角皿
実際に使われていたものです。





これほど割れてしまうと、使うことが難しいので捨てることになりますが、捨てられなくて張り合わせてあります。
大切にしていた猪熊さんの愛情が感じられるお皿です。


見込みの部分に描かれているのは邸宅でしょうか?
周りに描かれた装飾的な絵柄も美しいお皿です。


本に掲載されていた物をすべて紹介するわけにはいきませんが、私の目にも愛しいと思えたものを紹介しました。







愛らしい「オブジェたち」をみていると「猪熊さんの優しさ」も伝わってきました。



履歴
1902年 洋画家・香川県高松市に生まれる
東京藝術大学洋画科で学び、藤島武二に師事
1936年 新制作派協会を設立
1938年念願の渡仏
アンリ・マティスに指導を受ける
藤田嗣治・イサム・ノグチ マーク・ロスコらと親交を深める。
名古屋・丸栄ホテル ホール壁画「愛の誕生」で毎日美術賞を受賞

1955年52歳で拠点をニューヨークへ
移り住んだNYで具象から抽象画へ
1973年ハワイへ
1993年享年90







                    風景  1972

パリ・ニューヨーク・日本・ハワイへと拠点を移して、それぞれの環境や風土や社会の影響を受けながら、芸術家と交流しながら、具象・抽象を超えた生命力あふれた作品を制作しました。





                     ねこ  1987
 
猫が一匹我が家にもいるせいか、やはり猫のポーズが気になりました。
一時は猪熊さんは10匹も猫を飼っていました。

猫を飼っている人にしかわからない表情がシンプルに描かれていました。
子供が描いた絵のように見えますが、この絵にたどり着くまでには多くのデッサンと日々の迷いがあって、そのあとに表れてくる「シンプルな線」です。





              とり  1986

顔・鳥・猫といった彼がもっとも好んで描いたモティーフと色と形を観る事ができました。
彼が日々の中で収集して、慈しんできた素朴なオブジェもオモチャとして何点か飾られていました。


白地に赤の三越の包装紙のデザイン「華ひらく」も彼のデザインです。
猪熊さんが海岸で拾った石からデザインされました。


映像の中で散歩をしているシーンが映し出さ、咲ききって散ってしまった花をそっと拾い上げているシーンがありました。
どんな時にも美しいものを追い求めていた画家の姿が印象的でした。



彼が生まれた香川県には「猪熊弦一郎美術館」があります。
美術館の正面に描かれた壁画も「建築家・丹下健三」が設計した「香川県庁舎」の壁画も彼の作品です。
その美術館で2012年3月18日〔日〕-7月1日〔日〕まで行われていた「塩田千春・私たちの行方」の展覧会がありました。
倉敷にある「倉敷意匠」と岡山・児島の「Womb brocante」を訪ねた後、観たいと思っていましたが、結局開館中に間に合わなくて観ることができませんでした。
今でも心残りな展覧会です






                            塩田千春

彼女のことは「豊田市美術館のミュージアムショップ」で知りました。
アート関係の本がそろっているミュージアムショップで、この表紙の作品に目が釘付けになって、ページをめくってみるとベルリンで活躍している日本人アーティストの作品でした。


彼女は長くベルリンを拠点にして世界各地で作品を発表していました。
糸を使って空間に蜘蛛の巣のような網を張った作品は衝撃的でした。

又いつか塩田千春さんは紹介したいと思っています。


画家・猪熊弦一郎はパリ・ニューヨーク・ハワイへ アーティスト塩田千春も日本を飛び出してベルリンへ
それぞれの環境は違いますが影響を受け、生命力あふれる作品が制作されました。


これから未来を生きていく「若い人たち」には日本以外の国を訪ねて欲しいですね。


DATA  刈谷美術館
     愛知県刈谷市住吉町4丁目5番地
 TEL:0566−23−1636
OPEN:9:00−17:00
お休み:月曜日



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