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プライスコレクション グラフィックな若冲と江戸絵画の美

        
             若冲と江戸絵画  
       奇想のコレクション 最後の大公開

    2007・4・13〔金〕〜6・10〔日〕  愛知県美術館


カルフォルニアのプライスコレクションは江戸絵画の大コレクションとして世界的に知られています。
コレクター・ジョー・プライス氏はアメリカ・オクラホマで生まれ、
一代で財をなしたプライス氏の父が建築家フランク・ロイド・ライトと親交があり、父がライトに「プライス・タワー」の設計を頼んだことで、建築を手伝うことになり、
日本美術に詳しいライトを通して伊藤若冲〔いとうじゃくちゅう〕の美にめぐり合う。



「God〔神〕という語は、普通、大文字で始められるが、私はNature〔自然〕という語も大文字ではじめるよ」とライトがプライス氏に語った自然の造形に学ぶ態度は、コレクタープライス氏の思想と絵を買うときの美意識に影響を与える




ロサンゼルス郊外・コロナデルマールにあるプライスさんの自宅は自然光とろうそくで作品を鑑賞していて、今回の企画展でも、光の演出がされています。

江戸時代の作品〔簗〔やな〕図屏風〕を朝の白い光と夕日の光で見ることができました。金で彩られた部分と銀の彩が光によって、見え方がまったく違う見え方をして、照明がろうそくでしかなかった、かつての日本人も本来はこのような光で絵を見ていたのですね。









      「鳥獣花木図屏」  伊藤若冲〔いとうじゃくちゅう〕


1cm四方の桝目が86000個以上の上に多くの動植物や霊獣が描き出されている不思議な屏風です。
グラフィックデザインナーの作品のようです。
私自身は色を多く使っている作品より、色数の少ないシンプルな作品に魅かれました。







   「葡萄図 〔ぶどう〕」部分   伊藤若冲〔いとうじゃくちゅう〕



プライス氏の最初のコレクション
プライス氏は誰のものかも知らず購入して、人生を変えられた記念すべき作品です。
墨のグラディーションが美しい作品です。



日本人の多くが名前で作品を購入することが多い中で、アメリカ人の一人のエンジニアに
よって、若冲や江戸絵画が見出され、守られたことは日本人にとって残念ですが、幸運なことでした。

名前が景和〔けいわ〕になっていますが、若冲が若い時の名前です。


今回の作品はほとんど屏風と掛け軸ですが、
季節によって置き換えられる屏風や掛け軸は移動可能な調度品です。

ふと、ちゃぶ台〔テーブル〕もご飯を食べる時に出し、食事が終わるとしまわれる、移動可能な家具ではないかと。今はほとんど使っている家庭は少ないのですが、ヨーロッパを訪ねると、物が処狭しと飾られていることに驚きます。日本人がいかに清潔で、合理的だったかを感じます。

戦後、便利になったことも原因ですが、物を多く持たなくて、清潔で礼儀正しい日本人が少なくなって、しまったのではと危惧します。


そんな自分も本を捨てることができなくて、情けない。
もっと持ち物を厳選して、すっきり暮らしたいと毎日戦っています。

清潔に暮らすには、健康でなければいけないので、自然に家で作って食べることになります。できるだけ出来上がったものは買わないということは体力勝負です。



「江戸琳派」は日本でも何回か紹介されていますが、特に名前が挙げられる
尾形光琳〔琳派の名前の由来は光琳からとられている〕〔おがたこうりん〕や俵屋宗達〔たわらやそうたつ〕酒井抱一〔さかいほういつ〕の作品は
モダンなものが多く、洗練されていて好きな作品です。


今回はおもに酒井抱一や弟子の鈴木其一の作品を見ることができます。








     群鶴図屏風  鈴木其一〔すずききいつ〕

モダンで現代のインテリアにも、すんなりと溶け込んでしまうほど洗練された作品です。









   柳に白鷺図屏風〔やなぎにはくろずびょうぶ〕 鈴木其一〔すずききいつ〕



バレリーナのような白鷺の白と柳の草色・周りを囲んでいた額の赤が調和して、優美な作品です。心に残った一枚です。絵はがきには額まで写されていないことが残念です。








        貝図        鈴木其一

描く人によっては、ただの生物画になってしまう物を、其一の絵からは品のよさと、色の使い方の美しさを感じます。
やはり其一も自然の造形の美しさに早くから気ずいていたのですね。


レオナルド・ダ・ヴィンチの忘れられない言葉で、、
「自然はある人には、残酷で、ある人にとっては、やさしい母となる」も
幼くして、母と引き離されて成長したダヴィンチにとって、自然が母であり、師だったのではないかと、
あの有名な「モナ・リザ」は、生涯手元に置いて彼が毎日見つめていた作品です。
深い愛情をたたえた母のまなざしをあの絵に感じます。


ダヴィンチも伊藤若冲・鈴木其一・建築家のライトや多くの芸術家にとって、共通している点は、自然を師とし、インスピレーションの源だったことに改めて気づきました。



  



最後に飾られていた、秋草図 鈴木守一の作品〔其一の長男〕は絵はがきがなく残念でしたが、蝶が舞うこの絵も、ずっと見ていたい離れがたい作品でした。




DATA 〔愛知県美術館〕
address:名古屋市東区東桜1-13-2 愛知芸術文化センター10F
Tel:052ー971−5511
Open:9:00〜16:30
Close:月



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コメント
先日、京都でも若冲を観てきました。
名古屋はとても空いていてゆっくりみられましたが京都は80分も並びました。
両方ともすばらしかった。すっきりとした構図、モダンで品が良いですね。日本人の美意識になにか誇りを感じました。
  • mizuho matsuyama
  • 2007/06/06 11:31 AM
リンクの件、ありがとうございます〜
http://anoukaime.exblog.jp/に早速入れさせていただきました
  • Anouk
  • 2007/06/02 11:03 AM
連絡が遅くなり申し訳ありません。
このようなブログでよろしければ、リンクにいれてくださって構いません。
いつもブログを楽しみに見てくださってありがとう。
  • アトリエ・イリヤ・スロー
  • 2007/05/29 12:43 PM
以前レッスンのお問合せをさせて頂き、その後ブログのご紹介をして頂いたものです。
毎回素敵なブログを楽しみに拝見させて頂いておりますが、私もブログを始めもしよかったら私のブログのリンクにいれてもいいでしょうか?
  • Anouk
  • 2007/05/23 7:42 PM
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  • 絵画の感想
  • 2007/08/13 6:16 PM
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