グレゴリー・コルベール「Ashes and Snow」
ノマディック美術館 東京 お台場
2007年3月11日〔日〕〜6月24日〔日〕
はじめてこの移動美術館の写真を見たのは、雑誌の少年と鳥の写真でした。
いつまでも心にひっかかっていて、一日も早く見たいと思っていました。
カナダ出身のアーティスト・グレゴリー・コルベール氏が10年の沈黙の後、ニューヨーク・ロサンゼルスのサンタモニカを移動して、今回東京、お台場に。
東京、首都高速の湾岸線を車で走っていると、副都心お台場のニューヨークの摩天楼のような景色が現れてきます。
東京テレポートに着くと、目に飛び込んでくるコンテナを使用して組まれた美術館。
建築家・坂茂〔ばんしげる〕の意表をつく斬新な素材と空間を見るのも楽しみでした。
152個の貨物コンテナは市松模様を描くように、4段に積み上げられて10メートルの高さの壁面を作っていました。
アンバーとセピア色の写真には解説はなく、見る人の心に問いかけるものばかりです。
インド・エジプト・ミャンマー・トンガ・スリランカ・ナミビア・ケニア・南極大陸・ボルネオ諸島などで人間と動物との交流を映像に収めました。
デジタル画像処理や合成映像ではなく、レンズを通して見たままの映像で少女が象の足の前で、恐れることなく静かに横たわっている姿には驚きました。
一番高い屋根が17メートルにもおよび、入り口を入ると寺院を思わせる
空間に一枚ずつ大型写真が手漉きの和紙に刷られ、吊り下げられています。
わたしにとっては瞑想の空間になり、、心が静まって行くのを感じました。
写真と映像を見ていて動物と人間の境界線がなく、お互いが同じ地球に生を受けて、同じ生物として、寄り添っている姿に何度か涙があふれそうになりました。
社会問題を扱うドキュメンタリーフィルムの映像作家だったコルベール氏から「かけがえのない地球を。かけがえのない生物と一緒に守っていかなければといけない」と警告されているようでした。
コンテナは閉館後返却され、又あとかたもなく美術館はなくなって、次の国へ
外観のコンテナの色も美しい。
カウンターは紙管で作られていて、現代建築家らしい空間になっています。
BGMとして流れていたCDもDVDも買って、今はノマディック美術館の余韻に浸っています。
都会で暮らしている人にとって、物が溢れているのに何かが足らないことに、多くの人が気づき始めているのではないでしょうか。
この写真の前から中々離れることが出来ませんでした。
少女が一人で眠っている頭上を神さまが鳥の姿になって、守ってくださっているように私には見えるのですが。
DATA 〔ノマディック美術館〕
address:東京都江東区青海1丁目東京テレポート駅前特設会場
Tel:03-3498−9999
Open:11:00〜19:00
Close:
URL:www.ashesandsnow.com
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