料理を作ったり、器が好きだったことで、将来は好きなことを仕事にしたいと願っていました。
そのためにはどんなことを勉強しなくてはいけないのか、思いつく限りの本や勉強を始めましたが、
今、こうして「おもてなしのための教室」を開くことができて幸運です。
月日が過ぎるのと同じくらい私自身も日々変化しているので、テーブルのコーディネートのスタイルも変化していきます。
2010年7月の夏のテーブルコーディネート
ファミリーディナーのために白と黒ですっきりと夏らしく、モダンなおもてなしを少しアートっぽく作りました。
白のテーブルを作るときにいつも意識することは、白の微妙な色のトーンを盛り込みます。
今回は、ブルーがかった白の食器に、純白の白のグラス、キャンドルの色は生成りの白に。
微妙な白のトーンが好きです。
猿山修さんがデザインしたワイングラスにスープを。
スープのグラスの下には、現代作家・ナカオタカシさんの樹脂でできたプレートをペーパーナプキンの白とコーディネート。
白の微妙な色の変化が楽しめます。
ディナープレートの下に敷いたテーブルマットの「麻の黒」がより白を引き立てくれます。
夏には珊瑚や貝を使うことも。今年の夏はテーブルのセンターピースに珊瑚〔さんご〕を飾ってみました。
夏の花はすぐだめになってしまうので、最近ではアーティフィシャルフラワー〔リアルでナチュラルな造化〕を飾ることもあります。
最近では、洋式の華やかに飾り立てるテーブルコーディネートは過去のものになってきています。
私自身も色が溢れているテーブルは苦手で、柄物ではない白や黒、茶やグレーなどの色使いが好きなので、シンプルな色使いが個性なのかもしれません。
和のテーブルは日本の「5色の色」を意識したものが多く、季節をより強く表現します。
今まで受けてきたインスピレーションと、これから出会うインスピレーションで、日々イリヤスローのテーブルは変化し続けています。
おもてなしは、気の合う人たちと、美しいものを愛で、美味しいものを食べ、飲み、楽しい会話をすることであって、決して高価な器や食器を並べることではないと思っています。
自分にとって「美しいと思える器」で、美味しいお茶を丁寧に淹れて、季節のお菓子を用意して、心をこめて作る料理なら、それだけで立派な「おもてなし」です。
高価な食器や器がないから、おもてなしができないと思わないで。
今自分が持っている一番好きな器で始められたらいいと思います。
そろそろ自分の好きなものしか買わない「自分のものさし」を持つことが必要な時代になりました。
お客さま用や普段用と食器を分けないで、普段から「美しい器」を使うことが一番のおもてなしの勉強にもつながります。