写真家・石元泰博  時代を超える静かなまなざし  

JUGEMテーマ:アート・デザイン


雑誌の小さな記事が目に留まって写真展を知りました。
日本の写真史に名を刻む偉大な写真家、石元泰博さんの写真展を訪ねました。


桂離宮のモダニズムを写真により見出した作品は高い評価を得ています。
2012年2月6日東京都内の病院にて死去 享年90
デザイナーや建築家からも尊敬されていた、国際的にも高い評価を得た日本人の写真家が又一人遠くへ旅立ってしまいました。






                   シカゴ 子供 1959−61 


              2012年9月8日〔土〕−10月11日〔木〕

                  文化フォーラム春日井・ギャラリー

優れた造形感覚と知的で美しいモノクロームの表現で、国際的に認められている石元泰博の写真は雑誌や写真集などで目にすることはありましたが、今回実物をじっくりと身近で観ることができました




             
                       石元泰博の写真集





                          シカゴ  街   1959−61

印象に残った作品は何点かありますが、とくに目に残っている一枚です。
新聞が風に吹かれて、一瞬のことですが新聞の下に黒い影ができています。
この一瞬を撮るのは難しいことだったのではと思いますが、一瞬の中に閉じ込められた永遠を見ることができました






                     シカゴ 街  1959−61

1921年アメリカ・サンフランシスコで生まれる
3歳のとき父の故郷の高知県に帰郷 幼少期を過ごす

1939年再渡米 1952年シカゴ・インスティテュート・オブ・デザインで写真を学ぶ
桑沢デザイン研究所・東京造形大学などで教鞭をとる





                      東京  街  1997  





          桂離宮  中書院東の庭から  楽器の間と新御殿を見る  1981−82


柱の直線のモダニズムの美がみごとに切り取られています
「和の様式美」に気づかされた一枚です






          桂離宮   櫂形襖引手〔かいがた・ふすまひきて〕 〔笑意軒〕


私自身も歴史ある古い建物の襖の引き手はいつも気になる存在です
この桂離宮の引き手も見れば見るほど美しい造形美です





                     桂離宮  延段と飛び石

            苔と石のバランスが美しく、どきっとさせられた作品







                   桂離宮  賞花亭への飛び石道

      石の形が微妙に違う「飛び石」と「羊歯」との対比も美しい作品です
      この作品も目に残って離れない一枚です

      




         伊勢神宮  内宮  東宝殿 南東隅床部分の軸組  1993

  
    丸柱の木目の美しさと四角の軸板が調和していてモダンアート作品のよう







                東京   子供  1957年頃  

写真集の裏に掲載されていた作品
当時人気があった「月光仮面」になりきって遊んでいるこども
すっかりなりきっていてかわいい・・・・ 
こんなおちゃめな子供の姿は見られなくなりましたね。
小さな子供のときはいっぱい遊んで、自然や動物・近所の風景に溶け込んで遊んでほしいと願っています。夢中になって遊んでいる子供の姿を見るとなんだかほっとします。



今の自分を築いてくれたものの一つに「自然の中で遊んだこと」や近所の子供たちと夕方暗くなるまで遊んでいた記憶があります。
こんな大人になってもふと甦ってきて、めげそうになる自分をふるい立たせてくれます。


学ぶことはもちろん必要なことですが、学生の時だけではなく、学ぶことは一生かけてできます。
利害関係のない純粋に遊べる幼い時期におもっきり遊んでいることが大切ではないかと思っています。
「幼い日々の遊び」が一人の人間の精神の基になっているように感じています。


やはり三つ子の魂は百までは真実ですね。





                  シカゴ ビーチ   1959−61

黒人の子供と白人の子供が人種の差別なく遊んでいます
得意そうに少しはにかんだ少年の顔もいい笑顔です






                     シカゴ ビーチ     

海岸での一枚
遠くに見えるシカゴの摩天楼が霧に包まれています
人のシルエットが絶妙なバランスで並んでいて、この写真も好きな一枚です






                           空き缶 1993

道路に捨てられた缶が車で何度も踏みつけられて一枚の「紙切れ」のようになっています。
そんな姿にも彼は美を感じていました






                 ニューヨーク・セントラルパークの落ち葉 1986


ぬれそぼった葉は踏まれ踏まれてアスファルトに食い込み、
やっと葉脈だけがその存在を示していたりするその姿が「不思議にも命ここにあり」と私にささやいているような気がしたのです。
しかもそれは美しい。

石元泰博「刻〔とき〕  平凡社2004年  石元さんの言葉から



結果がどうなるかわからないものに、挑みつづけるのはしんどいけれど、面白い。
だからやめられない。

石元さんの言葉


写真展から受けた感動は今も心と目に深く刻まれました。
石元泰博さんが亡くなられた後、約30,000点にのぼる作品は「高知県立美術館」に寄贈されました。


ご冥福を心よりお祈り申し上げます。



DATA  文化フォーラム春日井
    愛知県春日井市鳥居松町5−44
 TEL:0568−85−6868
Open:9:00−21:30
お休み:月曜日


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